南島のソウルフード、チーズロールが今、熱い!

ニュージーランドの南島に住む人々が愛して止まない逸品、チーズロール。普通のチーズトーストとは似て非なるこの食べ物が、今注目を浴びています。

南島の風土とチーズロールの深い関係

 チーズソースがたっぷり巻かれた食パンといった、シンプルな食べ物、チーズロール。おそらくこの食べ物について聞いたことがある人はいないのではないでしょうか。実はこれ、ニュージーランドの“南の端っこ”に住む学生や毛刈り職人たちが大好きな食べ物なのです。そんな大人気のチーズロールが、今革命を起こしています。 

 チーズロールは、薄切りの白い食パンに濃厚なチーズを載せて巻き、グリルで焼いてからバターをたっぷりとひと塗りしたもの。その素晴らしさを挙げるとキリがありませんが、つい最近までニュージーランドの南島のサウスランドとオタゴ地域以外では知られていませんでした。

 チーズロールがスープにぴったり合うのは言うまでもないのですが、午前や午前のおやつに食べてもおいしいし、朝ごはんにだって合うと主張する人もいることでしょう。さらに夕食や、食後のおつまみにも…。とにかくいつ、どうやって食べてもおいしいのです。

 ニュージーランドのチーズロールは、パンにチーズ、調味料を少々加えてオーブンで焼くのが一般的です。ウェルシュ・レアビットやフランスのクロック・ムッシュなどの他国のチーズトーストに似ていますが、チーズロールはキーウィにとって、どうしてもコレが食べたいと思わせる一品なのです。特に、パンでチーズを巻いて焼くのが特徴的で、時には爪楊枝を使って止めるほど巻くことが重要なのです。

 このチーズロールが南島の人々の間で浸透して半世紀以上経つというのに、北島ではつい最近まで、ほとんど知られていませんでした。

 実はその始まりは古く、1930年代にまでさかのぼります。50年代には南島で当たり前のものになっていて、探求心旺盛な主婦たちが、あっさりとしたチーズロールに地元産のチーズと酢を加えるなどアレンジしました。とは言え、常にシンプルであることに変わりはなく、そこには“南の端っこ”ならではの土地柄が強く表れています。というのも、この地域はスコットランド人の長老派教会員による定住の歴史があり、彼らは倹約好きで知られているからです。

 その後、みじん切りにした玉ネギを加えたり、1970年代にはすりおろしたチーズ、エバミルクとオニオンパウダーの粉スープを加えたものが出始めました。  かつて、来客があれば何かおもてなしをすることが当然とされていた時代に、サービス精神あふれる“南の端っこ”の主婦たちは、前もって冷凍庫にチーズロールを作り置きしておき、来客者にすぐに出せるようにしていたほどです。

 オタゴ大学の研究者であるヘレン・リーチさんは、地域主義に関する調査の一部としてチーズロールの歴史を長年研究しました。その結果、ニュージーランドの南部は北島に比べて大変寒いためにチーズロールが広まったと結論付けられたのです。「南部ではスープを食べる食文化が深く浸透しています。冬にはいつも鍋いっぱいのスープがあり、それで冬を乗り切ることができるのです。そしてスープと一緒に食べたいのは、冷たいサンドイッチではなく、熱くてカリッとした食べ物だったのです」と彼女は説明します。

完璧なチーズロールとは?

 今日では、チーズロールは“南の寿司(Southern Sushi)”として知られるほど知名度があり、地元の文化を誇る食べ物となっています。値段も2ドルほどと手ごろで、街のカフェではたいていどこでもチーズロールを味わえますが、最も印象的なのはジョージ・ストリートにあるガバナーズ・カフェでしょう。ここは空腹の学生たちを数十年にわたり支えて来た店で、毎週土曜日に開かれるオタゴファーマーズマーケットでも“二日酔いに効く”食べ応えたっぷりのチーズロールを販売しています。 

 さて、このチーズロールに出合うには、ダニーデンより南の地域へと足を運んでください。国内最南端の都市インバカーギルからオタゴ沿岸の北部にあるオアマルの海辺まで、どこでもチーズロールがメニューにあります。特にオアマルでは、ファーマーズマーケットで出店される“チーズロール・レディー”のスー・ハービーさんのチーズロールがお薦めです。彼女はもう何年もフェスティバルや地元の募金活動などでチーズロールを作っていて、多くの人から熱い支持を受けています。

 どこでチーズロールに出合ったとしても、完璧なチーズロールは、外はカリッとしていて、中からチーズがトロリととろけ出すのが特徴です。たっぷり塗られたバターも忘れてはいけません。地元のチーズロール愛好家のハミッシュ・サクストン氏は、チーズロールはホットサンドとは一線を画したものだと強調し、その上で、「ロールをホットサンドイッチのようにプレスするのは、無意味なことですよ。平べったくてただのチーズフラットになってしまいますからね」と話します。

 チーズロールにはさまざまなバリエーションがあり、店によっては職人によるチーズとパンを使っているところもあります。特に、地元のグルメチーズメーカーとして知られるホワイトストーン・チーズは、自家製のチェダーチーズを使ったチーズロールが自慢で、オアマルにある本店のほかダニーデンのフォース・バー・スタジアムでも販売するなど人気を集めています。またこれまでには、ファームハウス・ブリーとサワードウで作ったものもあったようですが、リーチさんは、まずは伝統的なチーズロールを味わうべきだとアドバイスしています。「ロールの中に味が包まれているのが良く、一口食べるとチーズがとろりととろけ出して、口の中いっぱいにおいしさが広がるのが最高ですね。」と話します。

旅のメモ

 ダニーデンは南島の南部に位置しています。車では、クライストチャーチからは、国道1号線を約360 キロ南下したところにあります。飛行機では、ウェリントンやクライストチャーチなど国内の主要な都市から一日数便運航しています。

  インバカーギルはニュージーランドの最も南の都市です。国内の主要な都市から航空便が運航されていますが、最も人気のサザン・シーニック・ルートを利用するのもお薦めです。ダニーデンからインバカーギルまで、カトリンズ海岸沿いの素晴らしい景色を楽しめます。

ダニーデンやインバーカーギルを訪れるのに最適の時期

 ダニーデンは寒い時期(3~11月)に最も活気があります。その時期は約2万人の学生たちが生活しているので、街はとてもにぎやかです。また、カキが好きな人は毎年恒例のカキ祭り、ブラフオイスター&フードフェスティバルが開催される3月がいいでしょう。この時期はチーズロールを食べるのに最適でもあります。

おいしいチーズロールを味わえるお店をご紹介

※ 店舗の都合により、チーズロールがおいていない場合があることをご了承ください。

The Good Oil, Dunedin
(ザ・グッド・オイル/ダニーデン)

 レンガ造りの店内で、ダニーデンならではの古風な雰囲気を生かしたカフェです。コーヒーを同様にチーズロールもお薦めです。【所】314 George Street, Dunedin

Chamber of Coffee, Dunedin(チャンバー・オブ・コーヒー/ダニーデン)

 街のニューフェイスのカフェは、日当たりの良い中庭とレトロな雰囲気の内装が特徴です。また窓際の席では、カジュアルにチーズロールを楽しめます。【所】Forsyth Barr House, The Octagon, Dunedin

Starfish Café, St Clair
(スターフィッシュ・カフェ/セントクレア)

 南島ならではのワイルドな海岸沿いを眺めながら食事を楽しめる店です。チーズロールをテイクアウトしてみるのはいかがでしょう。【所】St Clair Esplanade, St Clair

Vogel Street Kitchen, Dunedin
(ヴォーゲル・ストリート・キッチン/ダニーデン)

 旧印刷所を改築した趣きのあるカフェです。街の人気スポットでチーズロールを味わってください。【所】76 Vogel Street, Dunedin

Otago Farmers Market
(オタゴ・ファーマーズ・ファーマーケット)

 言わずと知れた人気のマーケットです。マーケットキッチンからの各種フードは逸品ばかりです。【日時】土曜8~12時【所】 Dunedin Railway Station

Zookeepers, Invercargill
(ズーキーパーズ/インバカーギル)

 インバカーギルにあるこのカフェは、動物園をテーマにした一風変わった店です。【所】50 Tay Street, Invercargill

Sheep Milk Café, Invercargill
(シープ・ミルク・カフェ/インバカーギル)

 ブルーリバー・デイリーの羊乳で作られたフェタチーズを使ったチーズロールが自慢の店です。受賞チーズとアイスクリーム、チーズロールを楽しめます。【所】111 Nith Street, Invercargill

Mrs Clarks Café, Riverton
(ミセス・クラークス・カフェ/リバーストン )

 リバーストンの海辺にあるこのカフェは、受賞歴があり、チーズロールの店として地元で有名です。【所】108 Palmerston Street, Riverton

Old Post Cafe / Gore(オールド・ポスト・カフェ/ゴア)

 油で揚げたチーズロールの発祥の店です。ほかとはちょっと違う逸品を味わいたいならここがお薦めです。【所】103 Main St, Gore

 

街の周辺について

  ダニーデンは小さいながらも活気ある都市です。街から車で少し走った所に多くの名所があり、代表的なものとしては、世界的に知られるアルバトロスのコロニー がオタゴ半島にあります。また他都市へのアクセスも便利で、冬のリゾート地として人気のクイーンズタウンは車で3.5時間、歴史あるオアマルは1時間の距離です。オアマルのファーマーズマーケットは、毎週日曜に開かれています。   

 インバカーギルの街は、スチュアート島やフィヨルドランド国立公園、ミルフォード、ダウトフルサウンドへの出入り口となります。また、ビル・リチャードソン・トランスポート・ワールドには、ヘンリー・フォードの貴重なコレクションをはじめ、自動車にまつわる記念品の数々が収蔵されていますので、こちらもお見逃しなく。

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