マオリのグルメ革命を率いる料理人たち

マオリの伝統料理とユニークな食材を融合させた料理を提供し、ニュージーランドの“食の革命”を起こしている革新的なシェフがいます。 

 

 

 ニュージーランド全国には、おいしい料理を味わえるレストランやカフェがたくさんあります。しかし近年になって、マオリの伝統やこの国本来のカイ(マオリ語で「食べ物」の意味)が国民的なタオンガ(マオリ語で「宝物」の意味)であるとの認識が広く受け入れられ、異なる着眼点をもって新たな食の可能性に挑んでいる革新的なシェフが台頭してきています。

モニーク・フィソさん/ウエリントン 

Monique-Fiso-CREDIT-Steve-Boniface-(1).jpg

 二年前、若くて革新的なシェフのモニーク・フィソさんは、あるプロジェクトを立ち上げるべくニューヨーク州にあるミシュラン星付きのレストラン、ザ・マスケット・ルームを離れて帰国しました。そのプロジェクトとは国内外問わずイベントで出店するポップアップストアで、マオリの料理技術と食材を広めることを目的としています。フィソさんはマオリとサモア人を祖先に持ち、今回、食をプロデュースするにあたり、その自らのルーツに立ち返りました。マオリとサモアの人々は食と土地に柔軟に挑み、地中で料理するハンギという独自の料理法を生み出したり天然の植物を食材に取り入れたりしてきました。彼女はこの伝統を現代風にアレンジしてファインダイニングにふさわしい料理に創り上げることに成功し、マオリの食革命の第一線をリードしています。 

HIAKAI-Kawakawa-Berry-Broth-Pipis-Young-Kawakawa-Leaves.JPG

レックス・モーガン氏/ウエリントン 

 マオリとして食の伝統をニュージーランドの食卓にもたらした第一人者の一人が、レックス・モーガン氏です。彼はフランス料理を専門とし、そこにマオリ文化から受けた経験や食材を融合させて独自のスタイルを打ち出しました。マオリ・テレビのヒーロー的存在のシェフであり、ニュージーランド航空のビジネスクラスの料理に国原産の食材を導入したり、現在ではウエリントンの人気店ボウルコット・ストリート・ビストロのエグゼクティブ・シェフを務めたりしています。モーガン氏は、伝統的なハンギ料理に土臭い香りとスモーキーな風味を加え、ホロピトやカワカワといった野草も料理に加えました。またリクエストに応じて、マオリから影響を受けた料理も提供してくれます。 

ジェイド・テメパラさん/クライストチャーチ 

SP050816Kakanok05.JPG クライストチャーチにあるカカノ・カフェ・アンド・クッカリーは、5人の子どもを持つ母でもあるジェイド・テメパラさんが経営する新しいスタイルのビジネスです。彼女は、食の世界にマナアキタンガ(マオリ語で「おもてなし」の意味)の伝統的なコンセプトを取り入れ、食べ物がファナウ(マオリ語で「家族」の意味)とコミュニティーをつなぎ、癒すことができるという強い信条を掲げています。彼女の料理や料理教室で強調されているのは、食材の調達方法の大切さをはじめ、フリーレンジやオーガニック、スプレー剤不使用で新鮮で100パーセント栄養素が詰まった食材を使用すること、そして食材を丁寧に扱うことです。カフェは最近、市の中心部の日あたりの良いスポットに移転しました。ここでは、明るくて居心地が良く、味わい深くて栄養たっぷりの料理を味わえます。

SP090816Kakanok01.JPG

ショーン・ケレアマ氏/パーマストン・ノース 

 マッセイ大学には、現在工事中のマラエ(マオリの伝統的な集会場)が二つあります。一つはウエリントン、もう一つはパーマストン・ノースにあるメインのトゥリテア・キャンパスで、同大学のエグゼクティブ・シェフであるショーン・ケレアマ氏は、この二つのマラエにあるキッチンを取り仕切ることになっています。彼は、トゥリテラ・グランドにあるケイタリング・カフェ、ファレラタを経営しています。ここは世紀末前後の建築物である美しい邸宅で、学生やスタッフ、訪問者を対象にしています。ケレアマ氏はマオリ/マレー中国系の出身で、世界各国の料理を幅広くマスターしています。家族にも有能なシェフがいて、兄のジュード氏はイギリスのコーンウォールにレストランを二軒経営し、マオリ文化の影響を受けた料理をもてなしています。ケレアマ氏の料理にマッチしたニュージーランドのワイン・ディナーはファレラタの恒例イベントで、食とワインの専門家たちが参加できます。 

ロバート・オリバー氏/オークランド

Kai-Pasifika-staff-and-food-(58-of-60).jpg  ニュージーランド・マオリは誇り高き人種で、歴史や文化、言語的に共通点のある南太平洋のポリネシア人と複雑に絡み合っています。ロバート・オリバー氏の経営するカイ・パシフィカはオークランド中心街からほど近い郊外のマウント・イーデンにあり、南太平洋諸島の人々の深いつながりと料理の素晴らしさを感じさせてくれます。レストランでは島独特の料理にフォーカスし、マオリの料理も味わえるとあって、名の知れたシェフやセレブたちも時々訪れます。料理は華やかで、まさにアイランド風。食材は地元産や南太平洋諸島から取り寄せたものを使用しています。世界で最大の南太平洋諸島の人口を誇る、オークランドの街ならではの食事を楽しめます。また、カイ・パシフィカのワインリストには、トフやオトゥなどニュージーランドでもユニークな、マオリが所有するワイン会社のワインのみがそろっています。

 

どちらのコンテンツがよろしいですか?