自然保護に“フォーカス”、写真の持つ力を信じて

「一枚の絵は千の言葉に匹敵する」という古いことわざがありますが、一枚の写真は、保護活動を行う上で素晴らしい物語を伝えることができます。

 ニュージーランドは、その国土の約3分の1にあたる850万ヘクタールの面積が公園や自然保護区に指定されています。環境保護省(DOC)の管轄下に置かれ、レンジャー(自然保護管)たちが管理しているその土地は、地元の人も旅行者もめったに踏み入ることのないところです。そういったニュージーランドの奥深いへき地を人々に紹介し、保護活動について知ってもらうための最良の手段が写真です。
 
 今回は、ニュージーランドのDOCのレンジャーであり写真家でもあるニール・ハットンさんに話を聞きました。
 
環境保護省(マオリ語:テ・パパ・アタファイ)のコミュニティー・レンジャー(マオリ語:カイティアキ, アオ・ハ―ポリ
ニール・ロバート・ハットンさん
 
 DOC内でのご自身の役割について教えてください。毎日はどのような様子ですか?

 私はファカタネ地区をベースにしたコミュニティー・レンジャーです。イウィ(マオリの部族)をはじめ、地元グループや観光業者、学校や地方自治体と連携してベイ・オブ・プレンティ東部にある素晴らしい保護区の森を管理しています。
 自分が理想とするよりデスクワークの時間が長くなっていますが、私が撮影する一枚一枚の写真には物語があって、一冊のパンフレットができるものであったりメールで伝えられたりするものです。私が一番幸せに感じるのは、大好きな森の中を歩いて、人々にストーリーを伝えている時間ですね。
 
写真の世界へはどのように入ったのですか?
 
 私はアメリカ出身でして、写真に興味を持ち始めたのはアメリカにいる家族や友だちに、私の新しい故郷について共有するためでした。独学で写真を勉強し、この5年間にものすごい時間を費やして、ありとあらゆるものを撮影してきました。写真家として経験を積むにつれ、今となっては本当に写真が楽しいと思っています。特に、自然の世界とそれを守るために働く人の写真を撮るのが好きです。
 
保護活動を行う上での写真の重要な役割を教えてください。
 
 DOCレンジャーは、人がほとんど踏み入ったことのない場所へ行く機会があります。それは、国土の3分の1にあたる850万ヘクタールほどもの広大な面積になります。
 私にとって写真は、見る人を新しい場所や新しい世界へ連れていく魔法のようなものだと思っています。私の故郷、ミネソタ州の偉大な保護活動家だったシガード・オルソン氏は、「土地への愛情なくして、保護活動は意味や目的を失ってしまう。土地に対する深くて内在的な感情を持つ者だけがそれを保護するに値する」と語っていました。私の撮影する環境保護省の写真は、そういった心情があると思っています。これまで見たことのない森に対して愛情を持つように言われても難しいと思います。ですから、私の撮った一枚の写真をきっかけに、家族でその森へ初めて探検に出掛けたり、その森が好きになったり、守りたいと思ったりしてもらえるとうれしいです。
 
ニュージーランドで最高の写真が撮れるよう、旅行者にアドバイスをお願いします。

  • 自分の持っているカメラがベストのカメラです。汚れることを恐れず、雨の時も、いつでもシャッターチャンスを逃さないよう準備してください。森を歩いていると、いつ目の前にキーウィが現れるか分からないですから。
  • 天気が不安定な時でも、被写体を探してチャンスを逃さないようにしてください。私の好きな夕暮れの写真は、雲がかかったグレーの空の中で撮ったものです。あきらめかけたとき、雲が晴れて太陽の黄金の光りが、空から洪水のように差し込んできたのです。
  • ニュージーランドの夜空は格別な美しさです。ぜひ、天体写真にも挑戦してみましょう。ラッキーならウェタに出合えたりキーウィの鳴き声が聞こえたりするかもしれません。ニュージーランドの夜の森は神秘的で生き生きとしています。
  • 野生動物用の撮影レンズを用意するのがお薦めです。ニュージーランドならではの野鳥やアザラシなどの海洋性の動物など、ズーム機能があると動物たちに気づかれずに良い写真が撮れます。

今回紹介してもらった写真の中から、特にストーリーのある一枚を教えてください。
 

Neil-Hutton-_-Mangamate-Loop-Track-Whirinaki-Te-Pua-a-Tane-Conservation-Park-(2).jpg

 
 フィリナキ・フォレストは私が見た中で最も見事な森の一つで、樹齢何千年ものマキ科の樹木が頭上60メートルもの高さにまでそびえている様子は圧巻です。トランピングコースは155キロに及び、9軒の山小屋が整備されています。ここ一帯は携帯電話の電波が通じず、現代社会から離れた大自然の中に身を置くことができます。
 この写真は小川を100本ほど渡ったあとで撮影したものです。川にカメラを落とさないように、ずっとヒヤヒヤしながら歩いていたので、いっそのことカメラをしまおうを思ったところでした。そしたら目の前にカヒカテアの木々がそびえ立ち、トイトイの草が茂る素晴らしい光景に出合ったのです。ふさふさとしたトイトイの穂に太陽の光が差し込み、深い緑に包まれた原生林が金色に光り輝く様子は感動的で、その一瞬をカメラに収めることができました。

ニール・ハットンさんの写真をもっと見たい人はこちらから。【フェイスブック・オフィシャルページ】 www.facebook.com/neilroberthuttonphotos

ニュージーランド撮影ツアー

 ニュージーランドでは、経験豊かなガイドや写真のプロが同行する撮影ツアーを催行する旅行会社があります。ニュージーランドで最高の一枚を撮る旅に出てみてはいかがでしょう。

  • 2020ニュージーランド・フォトグラフィー・ツアーズ( 2020 New Zealand Photography Tours – 一日のワークショップや20日間のツアーなどさまざまなオプションがあります。お薦めは7日間の日程で行われる南島フォトグラフィー・ツアーで、オタゴ半島やカトリンズ、アオラキ/マウント・クックを訪れ、クィーンズタウンまで撮影旅行できます。参加費はペンギン・レスキュー・ファンド( Penguin Rescue Fund)への寄付金も含まれています。
  • トラベリング・ライト・フォトグラフィー(Travelling Light– トラベリング・ライト・フォトグラフィーはニュージーランドの老舗フォトグラフィー・ツアー会社です。ガイド付き、少人数制の個人旅行者向けに特化した写真撮影ツアーを催行しています。北島、南島全土、オーストララシア地区をカバーしています。
  • フォリス・エコ・ツアーズ(Foris Eco Tours―フィリナキ・フォレストの保護活動家であり熱心な写真家であるトム・リンチ氏と森の中を探検できます。マキ科の木々が立ち並ぶ独特の森で、世界でここでしか見られない巨大な樹木にフォーカスして、希少で絶滅の危機にある野鳥なども撮影できます。

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