新たな魅力で人々を引きつける オークランドのハイ・ストリート

どこか時代遅れの雰囲気が漂っていたオークランドのハイ・ストリートが、オーダーメイドのスーツやシャツの仕立て屋をはじめ、粋なゲストハウスやクラフトビールを味わえるバーなどが軒を連ねるオシャレな通りに様変わりしました。

昔と変わらぬ裏路地

 かつてはギャンブルや風俗店などが集まる歓楽街だったオークランドのハイ・ストリート。最近になってその姿を変え、街でもトップクラスの洋服屋やカフェ、ブティックホテルなど個性あふれるセンスの良い店が軒を連ね、人々から注目を集めています。

 ハイ・ストリートは、オークランド中心街を南北に伸びる大通りクイーン・ストリートに並行している狭い裏路地です。この通りに新しくビルが建築されたのは、第二次世界大戦以降、ほんの少しにすぎません。以来、街が郊外へ広がったりハーバーに向かって高層ビルが立ち並んだりと周辺が移り変わる中でも、ハイ・ストリートとその周辺の裏路地は初期の姿を保ち続けています。ビルは4、5階ほどと低くて大きな窓があるのが特徴的で、通りは自動車より歩行者が優先です。全体的に小ぢんまりとしていて、ニュージーランド最大の都市の中心街とは思えません。

 ここは、かつてはザンベジなどニュージーランドを代表するファッションシーンの初期の中心地でもあり、長い年月の間に栄枯盛衰を繰り返してきました。しかし最近になって大きく変化し、街でも有数のメンズファッション店や最もトレンディーな小規模経営のホテルなどが集まるスポットとして新たな脚光を浴びています。

 オークランドの中心街の開発が進められたのは、1841年のことです。それ以降最初の2、30年間は投資家と開発者たちの手によって段階的に発展してきました。メイン・ストリートに並行して伸びる裏路地には、ハイ・ストリートとオコーネル・ストリートがあります。すぐ近くには法律事務所や大手企業のオフィスが集まるショートランド・ストリートがあることから、この裏路地はそのビジネスエリアに飲食や娯楽などを提供する“サービス通り”として活気付いていました。また、その裏路地をつなぐ歩行者専用の小さな通りにバルカン・レーンという通りもあります。ここは当時はパブの並ぶバルチャーズ・レーンとして知られ、売春婦やギャンブラー、ジャーナリストなどが泥酔していました。その繁栄も1860年代になって火災が起こり、一気に陰りを見せはじめたのです。そのあと、クイーン・ストリートに面して新しくビルが建てられることになったのです。

クリエイティブな人が集まるトレンディーなエリアに

 大きな変化が起こりはじめたのは 1970年代のことで、ザンベジやワールド、ケイト・シルベスターなどといった、ニュージーランドのファッションデザイナーのショップがこのエリアに仲間入りするようになってからです。さらに最近になって、地元カウンシルが街並みづくりに投資をはじめ、一層変化を遂げています。

 きっかけとなったのは、創業1841年の歴史あるホテル・デ・ブレットです。元オーナーのミッシェル・ディリーさんと夫のジョン・コートニー氏が2007年に数百万ドルをかけて全面的に改装し、50年代のレトロ調の家具やアートデコ調のバー、明るいアトリウムにあるレストランなどがあることで広く知られるようになりました。ホテルはほぼ一区画を占め、一階部分には多くのショップがあります。改装に伴って、ディーリーさん自らが新しいショップの経営者を選ぶことにしました。「私たちがこの区域を取り仕切ったのが大きなターニングポイントになったと思います」と彼女は話します。「私たちは家賃を払ってくれる人なら誰でも良いと思ってテナントを選んだのではありません。コミュニティーのことを考えてバランスの良いエリアにしたかったのです。」

 そんなテナントの一つにブティック洋服店クレーン・ブラザーズが入居したのは、まだこの界隈が流行の先端になる前のことです。90年代にこのエリアで仕事を始めたクリエイティブ・ディレクターのマレー・クレーン氏は、「ここはいつの時代も、オークランドの生活や文化の中心となるスポットでした」と話します。そしてクレーン・ブラザーズに続いて、向かい側にはニュージーランドのメンズウェア店のバーカーズが店を構えるほか、ビジネスシャツの専門店スリー・ワイズ・メンやシャツメーカーのニコラス・ジャーミンが隣に並びます。

 すぐ近くにあるショートランド・ストリートは、現在でもオークランドの主要な法律事務所やベンチャー企業が並ぶビジネスエリアです。ここにも新しい店が仲間入りし、ビジネスパーソンたちは、ジルズ・ランチョネッテでコーヒーを飲んだり、新しいレストラン、ピルキングストンでランチをとったりしています。このレストランは、地元でよく知られている建築家ナット・チェシャイア氏がデザインした風通しの良いパビリオンにあることでも人気です。

 また、オコーネル・ストリートには大人の男性にぴったりの理髪店ビスポーク・バーバーズがあります。ロンドン出身のポール・バートロ氏がここに店を構えたのは2015年に入って間もなくのことです。店内は緑色の壁やダークトーンの木材を使用した落ち着いた雰囲気が特徴で、伝統的なカットやウェットシェービングなどが受けられます。バートロ氏はこのエリアに魅力を感じた理由について、「人々の様子やボディーランゲージの変化に注目することができるから」と話し、「どの人もクイーン・ストリートの喧騒から離れてこの裏路地に入り、コーヒーを飲んで一息ついているのです」と説明しています。バートロ氏によれば、彼の顧客のほとんどはスーツを着ているビジネスマンで、現代のハイ・ストリートにはデザイナーや建築家、ブティック広告代理店などを職業にする人が多いと言います。そして「最も魅力的なことは、街にクリエイティブな人々が戻ってきていること」だと彼は話します。

 そんな人々を満足させるスポットがハイ・ストリート界隈にはたくさんあります。まず、コーヒーを飲むならチャフトがお薦めです。ここは長い通路を入った奥にあり、街でも一番素敵なテラスの一つといえるところです。また、ブティックのコーヒー焙煎会社エイト・サーティーの新しいフラグショップは白と赤の目立つインテリアで、ミッドセンチュリー・アーケード内の一番奥にあります。そしてアルコールを楽しむには、バルカン・レーンがお薦めです。ここにはクラフトビールを提供し新たな脚光を浴びている老舗パブ、アーチン・アンド・アンバーとバルチャーズ・レーンがあります。どちらの店にもタップビールが数種類あるほか、定番の銘柄がそろっています。ビールを飲みながら、時代とともに歩んできたハイ・ストリートの歴史に思いをはせるのも面白いでしょう。

行き方

 オークランド空港は、ニュージーランドの主要な玄関口です。そしてオークランド中心街にあるハイ・ストリートは、バスや電車、フェリーなど主要公共交通機の駅から簡単にアクセスできます。

ベストシーズン

 2~4月にかけての夏から秋のシーズンがお薦めです。オークランドは晴れの安定した天気の日が多く、サマータイムで日が長いため、一日を有効に使うことができます。地元の人々はナイトマーケットやミュージックフェスティバルに足を運んだり、ビーチに出掛けたりしているので、市の中心街は静かです。

近郊

 ブリトマートはオークランドの中心街にあり、スタイリッシュなショッピングエリアやダイニングスポットがあります。フェリーに乗れば、約35分でワイヘキ島に着き、ワイナリーでのランチを楽しめます。またオークランドから南東方面へ行くとクレブドンという町があります。ここはこぢんまりとした田舎町で、周囲に農場が広がり、穏やかな砂浜があります。ここへは、クレブドン・バレー・ファーマーズマーケットが開催されている日曜日に出掛けるのがお薦めです。新鮮で、最高品質を誇る野菜や果物などの生産者に出会うことができます。

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